Dr'sコラム

線維筋痛症について

こんにちは。さいたま市南区の心療内科「南浦和駅前 町田クリニック」です。

今日は「線維筋痛症:Fibromyalgia」についてのお話です。
線維筋痛症とは、原因不明の全身の疼痛を主症状とし、不眠・うつなどの精神症状や、過敏性腸症候群・逆流性食道炎などの自律神経系の症状を随伴するもので、心療内科・精神科にも深く関係する病気です。

(発症年齢・男女差)
年齢は40~50歳台の方がもっとも多く、女性対男性の割合が8-9:1と圧倒的に女性に多いことが特徴です。長い間にわたる激しい痛みのため日常生活が困難になり社会的に大きな問題となっています。原因は今のところ不明ですが、遺伝的素因が少なからず関与するといわれています。

(発症の契機と経過)
発症のひきがねには、外傷や手術などの外的要因と、離婚や死別、解雇、経済的困窮などの生活環境のストレスに伴う内的要因に大別されます。パニック発作やPTSD(心的外傷後ストレス障害)に続発するケースもままみられます。

いずれの場合にも痛みが発症してからの経過こそが問題で、慢性ストレスがさらに痛みを引き起こし、痛みへの過感受性や痛みに関する認知のゆがみがおこり、不眠や抑うつが悪化していきます。

(治療)

*薬物治療
神経性疼痛に対する主な薬としては、プレガバリン(リリカ)やガバペンチン(ガバペン)、カルバマゼピン(テグレトール)などがあげられます。ほかにも、痛みと不眠に対してSNRI(トレドミンやサインバルタなど)やTCA(トリプタノールやノリトレンなど)、不眠や不安に対しては抗うつ薬のデジレルやリフレクス、抗精神病薬のセロクエルや抗不安薬のデパスやソラナックスが使われることもあります。高力価のBZ系抗不安薬についてはひろく日本では使われていますが、耐性・依存性を念頭において用量や期間に注意して使用することが望ましいです。

*非薬物治療

痛みや睡眠に対する認知のゆがみに働きかけるCBT(認知行動療法)、リラグゼーション、運動療法、ヨガなどが効果があることがわかっています。

上記のように線維筋痛症とは、「痛みそのもの」というよりは、痛みに続発する二次的な精神・自律神経症状、認知システムの異常が大きな役割を果たす疾患であり、心療内科・精神科での治療的役割はとても大きいと考えています。当院では種々の向精神薬による薬物治療のみならず、CBTやヨガ、運動療法なども行っております。皆さんどうぞお気軽にご相談くださいね。