適応障害

適応障害

適応障害とは、ある特定の状況や出来事(ストレス要因)が、本人にとってはとてもつらく耐えられないものになり、その結果、気分や行動面に症状があらわれるものです。

たとえば普段より憂うつな気分になる、不安感が強くなる、涙もろくなる、心配が募る、などの症状がみられます。行動面では、無断欠席や無謀な運転、喧嘩早くなる、人にあたる、物を壊すなどの変化が生じることもあります。

適応障害の症状と原因

症状

感情面、心理面、自律神経や行動面において、様々な症状が出現します。例えば、抑うつ気分、不安、緊張、焦り、怒りなどの感情面の症状、無力感、自信の低下などの心理的な症状、動悸や発汗、めまい、たちくらみなどの自立神経系の症状、行きすぎた飲酒や暴食、無謀な運転やけんか、やつあたり、無断欠勤、不登校などの行動面の症状があげられます。

原因

様々な外的刺激がきっかけとなり得ます。例えば、天候不順、気温の変動や騒音、病気や疲労、睡眠不足などの身体的ストレス、就職や転職、昇進、進学、結婚や出産、引っ越しなどの人生のイベントによってもストレスが引き起こされます。適応障害は、ストレス因から離れると症状が改善することが多くみられます。

うつ病との違い

たとえば仕事上の問題がストレス因となっている場合、勤務する日は憂うつで不安も強く、緊張して手が震えたり、めまいがしたり、汗をかいたりするかもしれませんが、休みの日には憂うつ気分も少し楽になったり、趣味を楽しむことができる場合もあります。しかし、うつ病となるとそうはいかないことがあります。環境が変わっても気分は晴れず、持続的に憂うつ気分は続き、何も楽しめなくなります。これが適応障害とうつ病の違いです。持続的な憂うつ気分、興味・関心の喪失や食欲が低下したり、不眠などが2週間以上続く場合は、うつ病である可能性が高いでしょう。


適応障害の治療法

ストレス要因の除去

ストレス要因がなくなれば、症状は改善しやすくなります。職場でのトラブルなどの場合は休職というのも一つの手段になるでしょう。 ストレス要因を取り除けない場合は、ストレス要因との付き合い方を考えるのも大切になります。

薬物療法

不安焦燥や不眠、パニック、軽度の抑うつ状態、自立神経症状などの二次的な症状に対しては、漢方薬や軽めの西洋薬が有効であることも多々あります。お薬に頼るというと抵抗を感じる方もいらっしゃいますが、より早く適応的な思考に切り替えられて生活や仕事の難局を乗り切ることができるのであれば、むしろ積極的に利用してみるのも一つの方法ではないでしょうか。体質や副作用の可能性などを考慮してよく相談した上で開始します。

認知行動療法

ストレス要因をどのように受け止めているか、自分のものの見方のクセを知ることも有効な手段です。物理的なストレス要因は環境調節することが最も重要ですが、ものの感じ方や価値観によってストレスを感じやすくなっている場合などは、「認知」を改善することも必要になってきます。「完璧主義」「10か0の思考」など人には様々な思考のくせがあることが知られています。ご自分の思考のくせをみつけて適応的で柔軟な思考に変えていくトレーニングをすることで、次に同じようなストレスがかかっても今度は乗り越えられるようになります。

リワーク

ストレスの全く生じない生活・仕事というものは存在しません。降りかかってくるストレスにいかに対処していくか、いかに心身の状態に気づきケアしていくか、それを経験を積んだ心理士の指導のもとで学び実践できる場が「リワーク」です。複数の参加者とともにワークをして刺激を受け学びあうことで、より効果が高まります。