Dr'sコラム

ADHDと睡眠障害・日中の眠気について

こんにちは、南浦和駅前町田クリニックです。

 今日は、ADHDと日中の眠気の関係について考えてみたいと思います。ADHDとは、注意のむらがある、忘れ物が多い、などの不注意症状や、落ち着いていられない、などの多動・衝動性症状があるものです。サブタイプとして不注意優性型、多動衝動型、それら二つの特徴を併せ持つ混合型があります。
 さて、このADHDの方は、そうでない方に比べて、様々な睡眠障害をより高頻度に伴うことが知られています。たとえば入眠困難、睡眠維持の障害、朝スムーズに起きられない、日中に過度の眠気を生じる、などです。これらの睡眠障害を放っておくと、二次的に注意欠陥症状や多動症状が増悪し、悪循環に陥ってしまうことがあります。
 特に思春期以降のADHDの方の中には日中の眠気を訴える方が多くみられ、これは脳の注意・覚醒を維持する機構がうまく働いていないことと関係していることが示唆されています。
 日中の眠気というのは結構深刻な問題です。学生の方ですと、授業中に寝てしまうことから学業不振や不登校、ひいては退学につながることがあります。社会人の方ですと、業務に支障に来たし上司に叱責されるなどして、二次的にうつ症状を発症したり退職に追い込まれたりすることも少なくありません。
このような場合には、コンサータというお薬がよく奏功することがわかっています。コンサータはドーパミンという物質に作用して脳の報酬系回路がスムーズに働くよう助けます。コンサータは1日1回朝に服用すれば1時間ほどで効いてきますので、速効性があるのが便利な点です。また、ストラテラというお薬も睡眠覚醒リズムを改善し、朝すっと起きやすくなった、学校や会社に遅刻しなくなったという声が聞かれることも多いです。ストラテラは脳内のノルアドレナリンを増やすことで注意機能を高める働きをします。こちらはコンサータと異なりじわじわと1〜2ヶ月かけて効いてくるのが特徴です。
 いかがでしたでしょうか。これまでは睡眠障害の一つと考えられていた者が、実はADHDの症状の一つであった、という場合があるわけですね。もし皆さんの中に上記のような症状でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院にお気軽にご相談くださいね。