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自閉症スペクトラム症(大人の発達障害)

大人の発達障害・自閉スペクトラム症(ASD)とは?

大人の発達障害・自閉スペクトラム症私たちは、日々の生活の中で「ちょっと不器用かも」「周りと違う気がする」と感じることがあります。しかし、その違和感が生活に支障をきたすほど大きい場合、「発達障害」の可能性が考えられます。

その中でも 「自閉スペクトラム症」(ASD:Autism Spectrum Disorder)は、大人になってから診断されることも少なくありません。
以下に、大人のASDについて、その特徴や診断、治療法についてご紹介します。

自閉スペクトラム症(ASD)の特徴

ASDは、生まれつきの脳の特性によって「対人関係」や「コミュニケーション」、「興味の対象」や「行動パターン」に特徴が現れる発達障害です。子どもの頃から特性はあったものの、本人がうすうす自分の特性に気づき周囲に適応しようと努力してきた結果、一見するとわからない場合や、自分でもASDの特性に気づかないことがあります。

大人のASDに見られる主な特徴

01. 対人関係の難しさ

  • 空気を読むのが苦手で、雑談や世間話で会話に入れない
  • 暗黙のルールや曖昧な指示が理解できず、字義通りに受け取る
  • 相手の感情や表情を読み取るの苦手

02. こだわりの強さと柔軟性の欠如

  • やり方やスケジュールに強いこだわりがある
  • 自分のペースを乱されたり信条に反するものに強い反発を感じる
  • 環境の変化が苦手で、同じ事を淡々とやり続けるのが得意
  • 興味の対象に強く集中しすぎてしまう

03. 感覚の過敏さ・鈍感さ

  • 音や光、触覚や匂い、味覚に敏感で疲れやすい
  • 誰にも邪魔されずにひとりで過ごすことを好む

大人のASDが気づかれにくい理由

大人のASDが気づかれにくい理由大人のASDは、その程度が軽く本人が適応する努力をした場合には、子どもの頃に気づかれないこともあります。
特に知能が高かったり仕事の能力が高い場合には、「友達づきあいの少ない少し変わった人」と受け止められはするものの、生活や仕事に支障が出なければ、病院への受診や診断に至らないことも多くあります。

特に女性はコミュニケーション能力が一般的に男性より高いことが多く、またASDの特徴を人に気づかれまいと努力するため、診断が遅れることが多々あると言われています。
仕事や家庭などの社会的な役割が増える大人になると、対人関係のストレスや環境変化に対応しきれず、二次障害として不安や抑うつ症状が出現して、初めて受診し診断されることもあります。

診断と治療について

ASDの診断は、問診や心理検査、本人の発達歴や場合により家族からの情報に基づき総合的に行われます。スクリーニングの精度を上げるためにスケールを用いる場合や、WAISという個性や特性を細かくみる心理テストを行う場合もあります。

いずれにしても、考慮すべきことが多岐にわたるため専門医の診断が必要です。

ASDに対する治療や支援

大人のASDが気づかれにくい理由心理社会的支援:コミュニケーションや対人関係のスキルを学ぶための認知行動療法(CBT)や支持的カウンセリングなどがあります。CBTの手法が身につくと、価値観や対人関係が前向きなものに変わるでしょう。また支持的カウンセリングを受けることで、今までの傷つき体験を癒やし生きづらさを緩和することができるでしょう。

環境調整:職場や家庭でのストレスを減らすため、働き方や生活環境を見直すことも重要です。また親しい知人や職場の上司・同僚にはその特性を打ち明けて理解を得られれば、特性に配慮してもらえるため二次障害の発症を予防できることもあります。

薬物療法:ASDそのものを治療する薬はありませんが、不安や抑うつ、過敏な感覚などの二次症状に対しての薬を服用することで、傷つきやすさや疲れやすさが減り、前向きな気持ちで人生を送れるようになることも少なくありません。

ASDの方は一般的にお薬にも過敏であることが多いため、信頼できる主治医とよく相談し、少量から始めてもらうと良いでしょう。

ASDとともに自分らしく生きるために

ASDは「病気」ではなく、「特性」とも言えます。自分自身の特性を理解し、周囲も適切な支援を行うことで、ストレスを減らし、自分らしく生きることができます。ASDのある方々は、優れた集中力や独自の視点を持つことも多く、適した環境で力を発揮できます。
もし「自分もそうかもしれない」と感じたら、一人で抱え込まず、専門の医師に相談してみてください。

当院では大人の発達障害・ASDのご相談や支援・治療も行っています。お気軽にご相談くださいね。