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知的障害(大人の発達障害)

知的障害について

知的障害について知的障害は、認知機能(知的能力)の発達に遅れがあり、生活や職場における適応能力に支障をきたす状態です。知的障害は発達障害のひとつと考えられていますが、単独で診断されることもあります。

知的障害の診断は、以下の2つの要素をもとに行われます

01. 知的機能の低下:知能指数(IQ)が70未満である

世界的に使われているDSM-IVという診断基準では、50-69は軽度、中等度は35-49、重度は20-34、とされています。但し学校の現場や臨床の場では、細かい数値にこだわりすぎることなく、1人1人の困り事や生活のニーズについて柔軟な判断がなされることもあります。

02. 適応機能の障害:日常生活や社会生活での自立が難しい

知的障害は軽度から重度まで幅広いものです。ごく軽度の場合は困難を感じるのは本人だけで、周囲に理解されにくいことがあります。中等度から重度の場合は、生活やお仕事、人間関係の構築に大きな支障を来すことがしばしばあるため、家族の助けや福祉サービスの利用が必要となります。
そのためには専門医を受診して心理検査を受け正確な診断を受けたり、二次症状(不安や抑うつ、イライラや衝動性など)について一定期間の服薬治療が必要なこともあります。

大人の発達障害と知的障害の併発について

大人の発達障害と知的障害の併発について発達障害と知的障害は別々の診断ですが、両方の特性を併せ持つ方もいます。
例えば、ASD(自閉スペクトラム症)の方の中には知的障害やADHD、学習障害を併発している場合もあります。
逆に知的障害は軽度でもASD特性やADHD特性が著しい場合には、自己肯定感が低下したり生きづらさが募ることから、重い不安障害やうつ病・双極症を併発してしまうこともあります。

診断と支援について

発達障害や知的障害の診断は、幼少時期からの生活歴や家族歴、職歴や現在の生活状況についての問診やWAISという心理検査を行い、総合的に判断します。
初診ではご本人だけでなく、ご家族からの情報提供が非常に有用となります。

主な支援方法

心理的支援

ソーシャルスキルトレーニング(SST)は、対人関係や社会生活で必要な挨拶や作法を予め練習しておく方法で、社会適応の改善に有効です。
学校や就労支援でも行っていることが多いですので、積極的に利用してみましょう。

公的支援

当院では、知的障害のある方が安心して暮らしていけるよう、公的制度や各種サポートの活用について分かりやすくご案内しています。
さらに、日常生活をより健康的で前向きに過ごすための工夫やアドバイスも行い、ご本人とご家族を一緒に支えていきます。地域での生活を大切にしながら、一人ひとりの可能性を引き出すお手伝いをいたします。

家庭での支援

生活の場では、家族が本人の特性を理解して起床から就寝までを順序だててサポートするのが良いでしょう。

職場選び

軽度の知的障害の方は、一般就労も可能と考えられます。予め上司に特性をもっていることを伝えて、必要なサポートを受けられるとさらに適応が良いものになるでしょう。
中等度から重度の知的障害の方は、一般的に就労支援や障害者雇用を検討することになるでしょう。

就労支援には、お仕事の内容や賃金が一般雇用に準ずるタイプと、居場所作りや作業による能力開発・維持を目的とするタイプがあります。
学校の先生やご家族ともよく相談して、自分に相応しい事業所を選び就職することが、自己肯定感や人生の充実感の向上につながるでしょう。

専門科の受診や福祉相談・薬物治療

専門科の受診や福祉相談・薬物治療知的障害そのものを治療する薬はありませんが、職場・家庭での適応困難を背景として、「不眠」「不安やうつ、イライラ」「易怒性・衝動性・攻撃性」といった二次症状が出ることもあります。

二次症状が続くと、本人の自己肯定感が低下するばかりでなく、人生に対する後ろ向きな気持ちが芽生えてしまいます。環境調整や心理社会的支援で良くならない場合には、精神科を受診して薬物療法について相談すると良いでしょう。

障害の程度によっては、精神保健福祉手帳や、精神障害者年金などの様々な福祉サポートが受けられることもあります。主治医に相談し、該当する場合には申請を考えてみましょう。

自分らしい人生を歩むために

知的障害は「治すべきもの」ではなく、自分に合った環境で周囲のサポートを受けながら、その人らしく充実した人生を過ごすことに目標をおくべきといえます。
知的能力と人生の幸せ度は必ずしも相関しません。特性を理解・受容し、無理なく笑顔で生きるために、まずは専門医を受診して診断を受け、利用できる福祉サービス等について相談してみてください。
「昔から生きづらさを感じていた」「自分に発達障害や知的障害の可能性があるのでは?」と感じたら、一人で悩まずにご相談ください。

当院では大人の発達障害・知的障害のご相談やサポートも行っています。お気軽にご相談くださいね。