ご予約・お問い合わせはこちら048-764-9797

妊婦のSSRI(抗うつ薬)使用について

こんにちは。さいたま市南区の心療内科「南浦和駅前 町田クリニック」です。

お薬を服薬することで日常生活や仕事の質が向上している方が、もし妊娠した場合にお薬はどうしたらよいでしょうか?

なるべくなら薬をやめるか頓服だけにする、あるいは漢方薬にする、という方法で生活の質を保てればベストです。しかし、減薬するとどうしても抑うつやイライラ、日々のパフォーマンスが低くなってしまうため生活や仕事がなりたたない、という場合に薬を継続するリスクはあるのでしょうか?

2015年にフィンランドと米国で行われた妊娠女性への調査によると、妊娠女性の4-10%がSSRIの処方を受けていたそうです。SSRI使用には早産・低出征体重児などの妊娠合併症がまれにあることは知られています。ただしSSRIを服用継続した妊婦と中止した妊婦をくらべると、妊娠初期では服薬継続群で帝王切開や早産のリスクが低く、新生児への合併症・先天奇形のリスクも高くなかったそうです。一方で妊娠中期や後期の服用群は、帝王切開のリスクは低かったものの、新生児アプガースコア(赤ちゃんの元気な度合をみるもの)悪化のリスクは高かったそうです。

この結果から、SSRIの服薬継続は、母体のうつ病に伴う新生児の低酸素や早産のリスク増大から保護する効果があると言えそうです。もちろん妊婦さんの病歴を考慮したうえで、個別に慎重に対処する必要があることはいうまでもありませんね。

当院では、妊娠・出産に伴う減薬や漢方薬への切り替えなどのご相談に柔軟に応じています。妊娠・出産は人生の一大事なので「絶対大丈夫」ということはありませんが、少しでもよいマタニティライフをメンタル面においても送れるべく、おひとりおひとりと向き合い努力しています。皆さんどうぞお気軽にご相談くださいね。

この記事を書いた人
町田なな子

 
略歴)
東京都出身
信州大学医学部卒業
東京医科歯科大学医学部大学院卒業 同附属病院にて初期研修
東京都医学総合研究所にて事象関連電位をテーマに博士号を取得
東京都職員共済組合青山病院・東京都立豊島病院・
東京都長寿健康医療センター・久喜すずのき病院等の勤務
医療法人七星会 南浦和駅前 町田クリニック院長
南浦和東口心療クリニック 統括院長

資格)
医学博士
精神保健指定医
日本精神神経学会 専門医 指導医
日本精神神経学会 認知症診療医
日本医師会 認定産業医

YouTubeでメンタルヘルスや発達特性についてのわかりやすい解説も行なっている

町田なな子をフォローする
町田 なな子 公式Youtube
Dr'sコラム